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波風を立てるアブラモビッチ氏

2003年7月8日(火)

文:エデュアルド・ニセンボイム

フォーブス誌でヨーロッパで19番目にリッチな人物として名が挙げられているロマン・アブラモビッチ氏が、先週イングランドのチェルシーFCを買収した。これにはアブラモビッチ氏の故郷ロシアのサッカー関係者達も驚かされた。

噂はなし
ロシアのサッカー界では普通、選手の移籍であれ、監督の解任であれ、大きな移籍話や投資話がある時には必ず、事前に奇妙な噂がそこら中に広がるものだ。しかし今回は、ロシア屈指の富豪でチュコト自治管区の知事も務めるアブラモビッチ氏が、サッカークラブを、それもイングランドで買おうとしていることなど誰も知らなかった。

がっかりしたロシア
買収のニュースが報じられた時、ロシアでの反応は称賛と落胆が入り交じっていた。ロシア・サッカー協会(RFU)の会長を務めるビアチェスラフ・コロスコフ博士は「この買収がうれしい話だとは言えない。ロシアの資金がロシアのスポーツやロシアのサッカーに投資され、ロシアのファンが喜ぶのを目にしたい」と語っている。

「最強リーグ」
またコロスコフ会長は「トップクラスの実業家が工場や銀行、企業だけでなく、サッカークラブも買収するのはよくある話だ。避けられない話だと私は思う。私自身はプレミアリーグは世界最強だと思っているが、その一部に加わりたいというのがアブラモビッチ氏の願いなのだ。しかし、ロマン・アブラモビッチはなんと言ってもロシアの国会議員なのだし、チェルシーでの地位をロシアサッカー界のために利用することだろう」と言う。

正しい判断
FCゼニト・サンクトぺテルブルグとロシアの1部リーグで会長を務めるヴィタリ・ムトコ氏は、アブラモビッチ氏によるチェルシーの買収は正しい判断だったと述べている。「正しいアプローチをすれば、サッカーは素晴らしいビジネスだ。だから、今回のような買収では大きなリターンが見込める。そういう意味ではロシア人実業家がイングランドのサッカークラブを買収しても、納得がいく。我々はロシアのサッカーが投資家にとって魅力的でないということを嘆くだけだ」

「天才的」
FCトルペド・モスクワの役員を務めるユーリ・ベロウス氏もムトコ会長と同じ意見で、「国際的なトップビジネスに関わるための方法としては、天才的だ」と述べたほか、アブラモビッチ氏が新しいビジネスで成功できるよう願っているとも語った。

ロシアの支持者
一方、ロシア国内でのアブラモビッチ氏の支持者達は、まとまった多額の投資がロシア国外に対して行われることに落胆の声を発した。その一方で、アブラモビッチ氏本人は、チーム経営やピッチ上での話にも積極的に口を出すと見られており、イングランドのサッカー界やチェルシーの現経営陣がどんな反応を示すか、見守る必要がある。

ラニエリ監督解任の噂
既にチェルシーではファビオ・カペッロ氏が監督に就任するという噂が出ており、クラウディオ・ラニエリ現監督の将来には暗雲が立ちこめている。そのラニエリ監督は「技術サイドに口を出すのは私が許さない。そんなことが起こったら確実に私は辞任する」と語っている。

これからが楽しみ
このようなラニエリ監督の姿勢が、「試合やチーム編成の決定に関わっていく」つもりだと公言しているアブラモビッチ氏の意図とどうかみ合っていくか、見守っていく必要がある。スタンフォード・ブリッジをホームとするチェルシーは、新オーナーの元でこれからが楽しみだ。

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