強豪の黄金期:2008-12年のバルセロナ

偉大なるバルサ:全盛期に到達したリオネル・メッシを擁したジョゼップ・グアルディオラ監督率いるFCバルセロナは、完璧なサッカーで圧倒的な強さを見せつけ、すべてのチームを恐れさせる驚異の4年間を送った。

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FCバルセロナがジョゼップ・グアルディオラ監督の下、“ティキタカ”と呼ばれる華麗なパスサッカーを披露したこの時期、相手チームは彼らからボールを奪うことも、ましてや得点することもできなかった。UEFA.comがサッカー界に革命を起こしたチームを解剖する。

黄金期
2005-06シーズン、フランク・ライカールト監督に率いられたバルセロナはUEFAチャンピオンズリーグ優勝を果たした。しかしバルサを素晴らしいチームから伝説のチームに変貌させるきっかけとなったのは、かつてクラブでMFとして活躍したグアルディオラがリザーブチームからトップチームの指揮官に昇格したことだった。

グアルディオラ監督は4年間の在任期間中、参加した19の大会のうち14の大会を制覇。就任1年目の2008-09シーズンは、スペイン・スーパーカップ、スペイン・リーガ、スペイン国王杯に加え、UEFAチャンピオンズリーグ、UEFAスーパーカップ、そしてFIFAクラブワールドカップと合計6つのトロフィーを手にした。

これだけでも驚きの快挙だが、もっと大きな功績は、グアルディオラ監督が自身と同じバルサのアカデミー出身の選手を22名もデビューさせたことだ。チームはシャビ・エルナンデス、アンドレス・イニエスタ、そしてリオネル・メッシといった選手が知名度を高め、2010-11シーズンのUCL決勝でマンチェスター・ユナイテッドFCにウェンブリーで3-1と勝利。これには敵将のアレックス・ファーガソン監督も称賛を送るしかなかった。「彼らは私が監督として対戦したなかで最高のチームだ。ここまで我々を打ちのめしたチームはほかになかった。彼らにとっては最高の瞬間だろう。正しい戦い方をし、自分たちのサッカーを楽しんだのだから当然の勝利だ」

2009年の決勝ハイライト
2009年の決勝ハイライト

引き継がれたバトン
バルサは容赦ないティキタカスタイルのパスサッカーと、高い位置からのプレッシングですでにレポーターたちを毎週、驚かせていたが、彼らが栄光に向けて最初の一歩を踏み出したのは2008-09シーズンのUCL準決勝だろう。スタンフォード・ブリッジでイニエルタが土壇場に鮮やかなゴールを決め、1-1の引き分けに持ち込む。この結果、アウェーゴール差で決勝進出を決めたのだ。

フース・ヒディンク監督に率いられたチェルシーFCは、最大限に理性的な戦いでティキタカに対抗した。深い位置で手堅く守り、メッシにマンマークをつけ、バルサのシュートを遠めからのものに制限し、敵地カンプ・ノウでの第1戦を0-0の引き分けに抑える。その抵抗をついに終わらせたのが、カーブをかけてゴール上隅に突き刺したイニエスタの一撃だった。「全身全霊を込めてボールを蹴った」とイニエスタは振り返る。ローマでの決勝ではユナイテッドも全精力を尽くして戦ったが、バルサの前に0-2と屈した。

サッカーを変えた哲学
ティキタカを考案したのはグアルディオラ監督ではない。ルイス・アラゴネス監督の下でUEFA EURO 2008を制したスペイン代表は、間違いなくこのスタイルでプレーしていた。高い位置でボールを保持し、早くて複雑なパス回しで相手チームを翻弄している。しかし、このスタイルを完全なものにしたのは攻撃的サッカーを好むグアルディオラ監督だろう。

グアルディオラ監督の4-3-3のシステムは、ボールを動かし続けて相手を囲い込み、メッシやイニエスタらが才能を見せつけた。RCセルタ・デ・ビーゴのビクトール・フェルナンデス元監督は次のように称賛している。「バルセロナほど相手陣内で多くの選手がプレーするチームは世界で類を見ない。攻撃と守備は裏を返せば同じことだ。ボールを失わなければ守備に回る必要がないからね」

2009年のジョゼップ・グアルディオラ監督
2009年のジョゼップ・グアルディオラ監督©Getty Images

戦術の天才
グアルディオラ監督は2008年6月17日にバルセロナの監督に就任した際、「ここに来たことは私にとって、大きな責任感と同じくらいの満足感をもたらしてくれる」と選手たちに話している。「私は皆を失望させない。準備ができていなかったら、ここにはいないだろう」

当時わずか37歳だったグアルディオラ監督は現役時代の大半をバルセロナで過ごし、リーガ優勝6回、1991-92シーズン欧州チャンピオンズカップ優勝、1996-97シーズンUEFAカップウイナーズカップ優勝を果たしている。また優れたコミュニケーターであり、真の信念を持つ選手でもあった。「ペップ(グアルディオラ監督の愛称)は自分のアイデアで相手を圧倒する情熱の持ち主だ」とシャビは語る。「彼は初日から、このチームで成し得る大きな目標を明確にしていた。それでも予想を上回る結果になったね」

スター選手
シャビ・エルナンデス チームの頭脳、中盤の心臓であり、ピッチでグアルディオラ監督のサッカーを具現化してきた。2011年に指揮官はシャビをこう表現している。「シャビは代わりがきかない選手になるだろう。ピッチでの貢献と信頼性だけでなく、ロッカールームでも尊敬されているからだ」

アンドレス・イニエスタ: 魔法のような技術と、生まれながらの謙虚さを併せ持つイニエスタはまばゆいほどの輝きを放つ。グアルディオラ監督の元チームメートであるエウセビオサクリスタン氏はイニエスタをこう称賛した。「想像力にあふれた選手だ。技術、才能、直感を持ち、スペースを生かす方法を知っている。プレーすることを楽しんでおり、シンプルで自然なそのプレーは見る者をワクワクさせるよ」

リオネル・メッシ: グアルディオラ監督は「レオ(メッシの愛称)が微笑めば、すべてがより簡単になる」と、サッカー史上最も傑出した選手を称賛したものだ。同指揮官はメッシュの技術を中心にチームを形成。このアルゼンチン代表は2009年と2011年のUCL決勝で得点するなど、数々の試合でゴールを量産している。

メッシとシャビ
メッシとシャビ©Getty Images

コメント
2009年に3冠を達成したシャビ: 「3冠には満足していない。うちには前進して歴史をつくり続ける力がある。ファンにはここで終わりでないことを知ってほしいし、パーティーはこれからも続くだろう」

2007年のディエゴ・マラドーナ氏: 「私の後継者となる選手はもう知っているよ。彼の名はリオネル・メッシだ」

2009年のジョゼップ・グアルディオラ監督: 「ヨハン・クライフとカルロスレシャックが残した財産があるのは幸運なことだと何度も言ってきた。彼らは父のような存在で、我々はそのあとを追っている」