パリの強烈なプレスに屈したバルセロナ

バルセロナがパリに0-4と衝撃的な大敗を喫した第1戦をグレアム・ハンター記者が分析。パリ・サンジェルマンの強烈なハイプレスとアプローチの転換がバルサの弱点をさらけ出したというのが、同記者の見方だ。

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14日のUEFAチャンピオンズリーグ・ラウンド16第1戦で、バルセロナはパリ・サンジェルマンに0-4と大敗を喫した。バルセロナほどの能力と伝統、そして勝負へのこだわりを兼ね備えたチームがここまで完膚なきまでにたたきのめされたとあっては、敗因をたった1つの要素に求めたり、運の悪さで片づけたりするのは難しい。

バルセロナは4年前の2013年にも、準決勝第1戦でバイエルン・ミュンヘンに敵地で0-4と大敗している。このときの試合後のコメントでシャビ・エルナンデスは、バルセロナがフィジカル面で劣っていたことを主な敗因として挙げるとともに、両チームの間にはそれほどの実力差はないと強調していた。

それから2年後、同じUCL準決勝で今度はバルセロナがバイエルンを敗退に追い込み、最終的には3冠を達成。シャビの主張を裏付ける結果となった。しかし今回の大敗は、まったく違う性質を帯びているように感じられる。

2013年4月のミュンヘンでの大敗と比較しても、勝ったパリと敗れたスペイン王者バルセロナの差は大きかった。確かにフランス王者のパフォーマンスは勝利に値するものだったが、ここ数カ月のバルセロナを注意深く見守ってきた人なら、今回の結果にも大して驚いていないはずだ。

ルイス・エンリケ監督が取り入れた戦術は、相手チームのミスを誘発するために、これまでの緻密なパス回しやポゼッション志向を抑え、前線にボールを入れる機会を増やすというものだった。

ネイマールもほとんど何もできなかった
ネイマールもほとんど何もできなかった©Getty Images

バルセロナの選手の多くが認めているように、こうした戦術が採用されるようになった裏には、並外れた能力を持つ3人のストライカーが前線にいるというチーム事情がある。この3人がいれば、たとえ中盤でのビルドアップを省略しても少ないチャンスでゴールを決めてくれる、というわけだ。

では、この戦術変更と、ラウンド16第1戦での0-4という大敗にはどんな関係があるのだろうか?

この数カ月の間に、バルセロナのボール保持率は徐々に下がっていった。対戦チームを圧倒する試合が減り、試合を支配する能力も落ちていった。そんななかで、相手からのプレスによって押し込まれる危険性は増していた。

超一流の選手を多数擁することから、現在のブラウグラナ(バルセロナの愛称)には、健全かつ非常に危険なチームとのイメージがある。エンリケ監督のもと、クラブは数多くのタイトルを獲得してきた。

しかし、パリのように戦術に優れ、フィジカル面でも最高の状態にあり、生き生きと躍動する自信に満ちたチームが、現在のバルセロナに本気で立ち向かうとなると、話は違ってくる。この試合を見たあとでは、かつてジョゼップ・グアルディオラ監督が非常に大事にしていた、“クライフ的”なコンセプトが少し色あせてきたのではという疑問を持つのも無理はない。

ポジションに則した役割には重点が置かれなくなり、超人的だったパススピードは人並に近づき、相手へのプレスはまちまちになった。今のバルセロナは前線の3人が絶好調であれば、どこにも負けないチームだ。

逆に、この3人が手も足も出ないほどに抑えられた場合、今のチームにとれるシステム的な解決策はにわかに少なくなる。そして、もはやシャビはいない。

超強力な攻撃陣を擁することを考えても、バルセロナが第1戦で負った4点差を覆すことは不可能だというのは、数々の予想外の展開を生んできたUCLの歴史を否定する物言いだろう。とはいえ、今季のブラウグラナを見守ってきた人たちの間では、大逆転劇に期待する気持ちは薄くなっているかもしれない。