アーセナルとバルサに希望? 歴史的大逆転劇の数々

欧州カップ戦の歴史を振り返ると、バルセロナにとっては不吉なことに、敵地での第1戦を0-4で落としたチームが勝ち上がった例はない。逆にアーセナルにとっては縁起がいいことに、敵地で1-5で敗れながらも第2戦で逆転突破を果たした例はある。2試合制の勝負における大逆転劇の数々をUEFA.comが振り返った。

Barcelona 2000
©Getty Images

UEFAチャンピオンズリーグ・ラウンド16第1戦でアーセナルとバルセロナが4点差の惨敗を喫したことを受け、欧州カップ戦の歴史に刻まれてきた、2試合制の勝負における大逆転劇の数々をUEFA.comが振り返った。

  • 欧州カップ戦における4点差からの逆転劇

ラ・ショー・ド・フォン 6-2 レイショエス
レイショエス 5-0 ラ・ショー・ド・フォン
1961-62シーズン、UEFAカップウィナーズカップ1回戦
1961年のポルトガルカップ決勝で近隣のライバル、ポルトに2-0と勝利したことで有名になったレイショエスは、この快挙により欧州カップウィナーズカップへの出場権を獲得。フィリポ・ヌニェス監督率いるチームは、欧州カップ戦でのデビュー戦となったスイスのラ・ショー・ド・フォンとの第1戦で2-6と大敗したが、本拠地カンポ・デ・サンタナで大逆転を果たす。オスバウド・シウバの2ゴールで前半のうちに2-0とリードすると、第1戦でも2得点を挙げたオリベイリーニャが、バンジーニョの1点を挟んでまたしても2得点をマーク。現在でも欧州カップ戦史上唯一、アウェーゴール差に頼らず4点差を覆したチームとなっている。

クイーンズ・パーク・レンジャーズ 6-2 パルチザン
パルチザン 4-0 クイーンズ・パーク・レンジャーズ
1984-85シーズン、UEFAカップ2回戦
アラン・ムラリー監督率いるQPRは、本来のホームスタジアムであるロフタス・ロードが人工芝だったため、当時アーセナルのホームだったハイバリーで行われた第1戦で6ゴールを挙げて大勝。3回戦進出は確実に見えた。しかしベオグラードでの第2戦ではドラガン・マンツェ、ドラガン・カリカニン、ミオドラグ・イェシッチ、ズボンコ・ジブコビッチの得点でパルチザンに勝負をひっくり返されることに。当時のQPRでMFとしてプレーしていたガリー・ワドックは「第2戦ではひどい敗戦を喫した」と振り返っている。「第1戦で大きなリードを奪ったから、突破は確実だと思っていたよ。こちらも十分に準備をしたつもりだったけれど、この結果は欧州カップ戦の第2戦で序盤につまずくと、何が起きるかをまざまざと示している」

Celebration (Real Madrid CF)
©Getty Images

ボルシア・メンヘングラッドバッハ 5-1 レアル・マドリー
レアル・マドリー 4-0 ボルシア・メンヘングラッドバッハ
1985-86シーズン、UEFAカップ3回戦
のちにバイエルンで指揮を執るユップ・ハインケス監督の下、メンヘングラッドバッハは第1戦でマドリーに圧勝。しかし第2戦では開始17分でホルヘ・バルダーノが2ゴールを挙げ、ルイス・モロウニー監督率いるチームが息を吹き返す。さらに終盤にはカルロス・サンティジャーナが2点を加え、マドリーが大逆転で突破。彼らはその後、決勝でケルンを破って優勝している。FWのファニートはこの逆転劇をこう振り返った。「自分はスペイン代表でプレーし、ワールドカップも2度経験している。マドリーでは何度もタイトルを獲得したが、一番記憶に残っているのはこの逆転劇だ。僕の人生で最もうれしかった日だよ」

  • 欧州カップ戦における5点差からの逆転劇

ホンベード 5-2 パナシナイコス
パナシナイコス 5-1 ホンベード

1987-88シーズン、UEFAカップ3回戦
パナシナイコスはギリシャでの第2戦で3点のビハインドをひっくり返した。しかしこの逆転劇が語り継がれてきたのは、第1戦でパナシナイコスが一時的に0-5とリードされていたからだ。勝負のどの段階であれ、一旦5点差をつけられたチームが2試合合計で勝ち上がった例はほかにない。

  • UCLで起きた第2戦での大逆転劇

チェルシー 3-1 バルセロナ
バルセロナ 5-1 チェルシー(延長戦で決着)
1999-2000シーズン、準々決勝
当時のチェルシーはロマン・アブラモビッチ氏がクラブを買収する前で、今日のように欧州の覇権を争うビッグクラブではなかった。ゆえに、ルイス・ファン・ハール監督率いるバルセロナに3-1で勝利を収めた第1戦は、当時ジャンルカ・ビアッリ監督が率いていたチームにとって忘れがたいものとなる。第2戦でも2ゴールを奪われたあと、83分にトレ・アンドレ・フローがこの対戦で3点目となるゴールを挙げて2-1とし、このまま終われば準決勝に進出するのはチェルシーのはずだった。しかしバルセロナは、ダニ・ガルシアのゴールで2試合合計スコアをタイに持ち込む。そして続く延長戦ではリバウドのPK、パトリック・クライファートのゴールで5-1とし、勝負を決めた。

バルセロナのガブリ・ガルシアは「あの試合は僕の人生でも最高の夜だった」と話している。ルイス・フィーゴも「この日の試合運びはまさに完璧だったね。大きなリードを許したが、何とか逆転突破にこぎつけた」と、その思い出を語った。一方、まさかの逆転負けを喫したチェルシーのビアッリ監督は、「我々はまずい守備をするという、望んでいなかったことをやってしまった」と悔やまれる試合運びを分析。その後、バルセロナはベスト4で大会を去っている。

ACミラン 4-1 デポルティボ・ラ・コルーニャ
デポルティボ・ラ・コルーニャ 4-0 ACミラン
2003-04シーズン、準々決勝
サン・シーロでの第1戦ではワルテル・パンディアーニのゴールでデポルティボが先制したが、その後はカカの2ゴールを含む4得点でミランがデポルティボを粉砕。パンディアーニの先制点はすっかり忘れ去られた格好となった。リアソールでの第2戦を控え、当時デポルティボを率いていたハビエル・イルレタ監督は、願望以上の何かを期待し、こう発言していた。「これ(逆転突破)はもちろん、非常に複雑で、大変な難題だ。だがサッカーではしばしば奇跡が起きる。理性では考えられないような出来事がね」

07/04/04: Deportivo’s record comeback
ハイライト:デポルティボの大逆転

信じられないことに、第2戦のハーフタイムを迎えたとき、2試合合計スコアでリードしていたのはデポルティボだった。パンディアーニ、フアン・カルロス・バレロン、アルベルト・ルケのゴールで前半だけで3-0とし、さらに後半76分には交代出場のフラン・ゴンサレスのダメ押し点で4-0と完勝。勝ち抜けることができたら、サンティアゴ・デ・コンポステーラへ巡礼の旅に出ると約束をしていたイルレタ監督は第2戦のあと、こう語った。「この勝利には、サンティアゴに出かけるだけの価値がある。約束は約束だ。私はサンティアゴまで歩いて巡礼するつもりだ」。デポルティボはその後、準決勝で敗退となった。

レアル・マドリー 4-2 モナコ
モナコ 3-1 レアル・マドリー

2003-04シーズン、準々決勝
このシーズン、まさかの快進撃で準々決勝に進出したモナコだったが、2004年3月24日、サンティアゴ・ベルナベウでの第1戦で試合終了を告げるホイッスルが吹かれた時点では、そんな魔法もすべて消えたかに見えた。この試合でマドリーは後半に4ゴールと大爆発、小さな公国を本拠とするモナコは崖っぷちに追いつめられた。だが、83分にフェルナンド・モリエンテスが決めた2点目となるアウェーゴールが僅かな希望となる。当時モナコを率いていたディディエ・デシャン監督は第2戦を前に敗北を認めず、「(敗退を)考えるようなら、家にこもっていた方がまだマシだ」と言い切った。

そして迎えた第2戦、モナコは1点を先制されて前半ロスタイムに突入。デシャン監督はもはや家に帰りたい気持ちだったかもしれないが、チームはルドビク・ジュリのゴールでハーフタイム前に追いつくと、後半にはマドリーから期限付き移籍中だったモリエンテスが逆転ゴールをマーク。さらにジュリの自身2点目で3-1とし、2試合合計でもアウェーゴール差で結果をひっくり返した。ただし試合終了直前、惜しくもクロスバーを越えたラウール・ゴンサレスの強烈なシュートが決まっていたら、奇跡の逆転劇はかなわなかったかもしれない。モナコの逆転突破に貢献したモリエンテスは、この勝利を喜びかねている様子だった。「もちろん、モナコの勝利はうれしいよ。でもマドリーにもたくさんの友達がいて、彼らが辛い気分を味わっていると思うとね」。モナコはこのシーズン、決勝まで行ったが優勝は逃した。

John Terry & David Luiz (Chelsea FC)
©Getty Images

ナポリ 3-1 チェルシー
チェルシー 4-1 ナポリ(延長戦で決着)

2011-12シーズン、ラウンド16
このシーズンのチェルシーは、監督交代をきっかけに驚きのV字回復を遂げた。敵地ナポリでの第1戦はアンドレ・ビラス・ボアス監督にとってチェルシーでの欧州カップ戦最後の一戦となる。この試合、チェルシーはフアン・マタのゴールで先制するも、エセキエル・ラベッシに2得点、その間にエディンソン・カバーニにもゴールを許して1-3と逆転負けを喫し、一転して敗退濃厚となった。それでもビラス・ボアス監督は試合後、「アウェーゴールを挙げたことで、逆転突破の可能性は大いにある」と強気の姿勢を見せる。

しかしその後、ビラス・ボアス監督は解任され、代わってロベルト・ディ・マッテオ暫定監督が第2戦の指揮を執ることに。その第2戦ではディディエ・ドログバ、ジョン・テリーのゴールに続き、フランク・ランパードがPKを沈めて勝負は延長戦に持ち込まれる。さらに105分、ブラニスラブ・イバノビッチがゴールを決めて奇跡の逆転劇を締めくくった。ディ・マッテオ暫定監督は、「これまでも素晴らしい試合を何度も経験してきたが、この勝利はクラブの歴史に残るだろう」と発言。しかし、このシーズンの決勝でさらに劇的な逆転勝利が待ち受けているとは、このときの彼は知るよしもなかった。チェルシーはその後、決勝でバイエルンを破って優勝を果たすことになる。

Lionel Messi (FC Barcelona)
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ACミラン 2-0 バルセロナ
バルセロナ 4-0 ACミラン

2012-13シーズン、ラウンド16

これはバルセロナにとって吉兆になるだろうか? 第1戦を0-2で落としたのち、アウェーゴール差以外で勝ち抜けたチームは過去になかったが、カタルーニャのクラブはカンプ・ノウの大声援に後押しされ、その不利なデータをはね返した。リオネル・メッシが前半に奪った鮮やかな2ゴールでミランのリードを帳消しにすると、後半の序盤にダビド・ビジャが追加点を挙げて、2試合合計で逆転に成功する。

ホームのバルセロナは、1-0だったときに浴びたムバエ・ニアングのシュートがポストに当たるなど、運にも助けられた面も。その後も後半ロスタイムにジョルディ・アルバが前線に駆け上がって4点目を奪うまで、安心することはできなかった。失意に沈んだミランのマッシミリアーノ・アッレグリ監督はこの日、バルサが「驚くほど見事な戦い」を見せたことを認めている。一方メッシは、「こういう戦いを僕ら自身もファンも毎試合求めている」とUEFA.comに語った。バルセロナはこのシーズン、ベスト4で敗退している。

United super subs floor Bayern with latest of comebacks
1999年:大会史上最大の逆転劇

オリンピアコス 2-0 マンチェスター・ユナイテッド
マンチェスター・ユナイテッド 3-0 オリンピアコス
2013-14シーズン、ラウンド16
アレックス・ファーガソン元監督の精神は、まだオールド・トラフォードに残っていた! 開幕前の夏にこの偉大なるスコットランド人指揮官が去ったことにより、マンチェスターでは一時代が終わりを告げた。しかしその不屈の精神は健在だった。アレクサンデル・ドミンゲスの素早いフィニッシュとジョエル・キャンベルの見事な一撃で第1戦を制したオリンピアコスが15年ぶりの準々決勝進出まであと一歩としたものの、その夢は無残にも打ち砕かれることになる。

第2戦でユナイテッドを救ったのはロビン・ファン・ペルシだった。このオランダ人ストライカーはPKで均衡を破ると、ハーフタイム直前に2点目を追加。さらに後半の序盤、FKで3点目を挙げ、UCLで自身初のハットトリックを達成する。この日はクラブにとって歴史的な日でもあった。ユナイテッドが欧州の舞台で最後に同様の点差をひっくり返したのも30年前の同じ週。バルセロナとのUEFAカップウィナーズカップでのことだった。しかし2014年は結局、次の準々決勝で敗退となっている。

パリ・サンジェルマン 3-1 チェルシー
チェルシー 2-0 パリ・サンジェルマン
2013-14シーズン、準々決勝
逆転劇の主役となったのは、またしてもチェルシーだった! 第1戦でジョゼ・モウリーニョ監督率いるチームは後半、ダビド・ルイスがオウンゴールを献上。さらにロスタイム3分にハビエル・パストーレにとどめの一撃を許し、1-3とリードされてパリをあとにした。しかし、この試合の前半にエデン・アザールがPKで奪ったアウェーゴールが、第2戦での逆転劇で大きな意味を持つことになる。

第1戦から6日後の第2戦では、交代出場したアンドレ・シュールレが32分に先制点をマーク。さらに試合終了3分前、同じく途中出場のデンバ・バがチーム2点目を決め、歓喜を爆発させる。これでチェルシーは2試合合計スコアで同点とし、アウェーゴール差で勝ち抜けた。「我々は今日、すべてを懸けて戦った」と、モウリーニョ監督は胸を張った。「仮にあの2点目が生まれていなかったとしても、選手たちを誇りに思っていたはずだ」。チェルシーは次の準決勝で大会を去った。

2015 highlights: Bayern hit Porto for six
バイエルンの逆転劇を観よう

FCポルト 3-1 バイエルン・ミュンヘン
バイエルン・ミュンヘン 6-1 FCポルト
2014-15シーズン、準々決勝
ポルトが第1戦で苦心して奪ったリードは、敵地ミュンヘンでの第2戦で長続きしなかった。バイエルンはロベルト・レバンドフスキの2ゴールなどにより、ハーフタイムまでに5-0と大きくリード。その後にポルトのジャクソン・マルティネスが1点を返すも、シャビ・アロンソのFKでとどめを刺された。

バイエルンを率いていたペップ・グアルディオラ監督は、「ポルトでの試合を戦い終えたあとにも、逆転できるという感覚があった」と語った。「頭で計算してしまいがちだが、私は常に相手を分析する。第1戦でのポルトの戦い方に大きな驚きはなかった。彼らは非常に素晴らしいチームだが、今日はいつもの力を出し切れていなかったね」。バイエルンは準決勝で敗退している。

Highlights: Watch Cristiano Ronaldo's semi-final hat-trick

ボルフスブルク 2-0 レアル・マドリー
レアル・マドリー 3-0 ボルフスブルク
2015-16シーズン、準々決勝
決勝トーナメント初挑戦のボルフスブルクはリカルド・ロドリゲスとマクシミリアン・アーノルトがネットを揺らし、当時、優勝10回を誇るレアル・マドリーに先勝した。しかし、たった1人の選手にすべてをひっくり返されてしまう。クリスチアーノ・ロナウドだ。第2戦では、まず15分過ぎに先制点を挙げると、その90秒後には2試合合計得点をタイに戻す2点目をマーク。試合終了13分前にはFKをねじ込み、ハットトリックを完成した。

「ベルナベウの皆はいつでも逆転できると信じている」とロナウドは語った。「レアル・マドリーには何度となく逆転劇を演じてきた歴史がある。今夜も例にもれなかったわけで、チームの誰もがすごく喜んでいるよ。サポーターが最高だった。彼らに感謝しなければいけないし、よくやってくれたと言いたいね。パーフェクトな夜だった」。レアル・マドリーは最終的に11回目の欧州制覇を成し遂げている。