鎖を解かれたバイエルンがアーセナルを圧倒

カルロ・アンチェロッティ現監督の考えるサッカーはジョゼップ・グアルディオラ前監督のものとは違うかもしれないが、バイエルン・ミュンヘンが自由にプレーしたときの強さは変わっていない。

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結果を残し続けている点では共通するものの、ジョゼップ・グアルディオラ前監督が率いていたころのバイエルン・ミュンヘンと、カルロ・アンチェロッティ監督が率いる今のバイエルンは明らかに別物だ。圧倒的なまでにボールを支配したサッカーは、より静かに試合をコントロールするスタイルに変わったように見える。

しかし、ことUEFAチャンピオンズリーグにおいては、2人の指揮官のスタイルにはそれほど明確な違いはないようだ。15日のラウンド16第1戦でアーセナルを5-1で一蹴した結果、バイエルンはUCLでのホーム連勝記録を16に更新。監督が誰であっても欧州では相変わらず強く、鎖を解き放たれた彼らを封じ込められるチームはほとんどいない。

ハイライト:バイエルン 5-1 アーセナル
ハイライト:バイエルン 5-1 アーセナル

今になって思えば、昨季のアトレティコ・マドリーがフスバル・アレナ・ミュンヘンで1-2と競り負けたにもかかわらず、アウェーゴール差で決勝に勝ち進んだことは歴史的な快挙と言っていいのかもしれない。ディエゴ・シメオネ監督率いるアトレティコはバイエルンの強烈なプレッシャーに苦しめられたものの、大差での敗北をどうにか回避。もちろんGKヤン・オブラクの活躍もあってのことだが、最終的にミラノへの切符を手に入れた。

現在の欧州サッカー界において、バイエルンのホームで波状攻撃に耐えつつ、失点を最小限に抑えて結果を残せるチームはアトレティコしかいないように思える。アーセナル、そして慌ただしい夜を過ごした彼らの守護神ダビド・オスピナは、アトレティコのように踏みとどまれなかったが、ロヒブランコス(アトレティコの愛称)があの夜に経験したのと同じ苦難を味わったはずだ。

相手にとってもどかしいのは、バイエルンの守備は決して盤石ではないということだ。昨年5月の準決勝でアントワーヌ・グリーズマンが奪ったゴールと同様、アレクシス・サンチェスがアーセナルにもたらした同点ゴールは貴重な1点になるかと思われた。バイエルンの守備の人数は十分に足りていたが、サンチェスはそれをものともせずにネットを揺らしたからだ。

バイエルンはUCLのホーム戦で16連勝とした
バイエルンはUCLのホーム戦で16連勝とした©AFP/Getty Images

だが、得点できたとしても、バイエルンの猛攻に耐えなければ意味がない。第1戦の後半開始後、アーセナルはそれに耐えきれなかった。主将のローラン・コシエルニが負傷交代したことも響いた。

バイエルンには無数の攻撃オプションがある。今回はフィリップ・ラームが右サイドを駆け上がり、センターではチアゴ・アルカンタラが攻撃の起点に。ダビド・アラバとアルトゥーロ・ビダルはサポート役に甘んじた。

バイエルンはあらゆる方面から襲いかかってくる上に、アーセナルが経験したように、トーマス・ミュラーという最終兵器まで用意している。この日もミュラーは途中出場でダメ押しのゴールを奪取。アーセナルだけでなく、数多くのチームがバイエルンの破壊的な攻撃力の被害に遭ってきた。

被害者は今後も増え続けるだろう。監督が交代してからも、バイエルンの(特にUCLでの)特性は変わっていない。常に試合を支配し、攻撃オンリーで見る者を楽しませるエンターテイナー。中立ファンとしては、それがいつまでも続くことを願わずにはいられない。