アレクシス・サンチェスの輝かしい功績

かつては“リス”の愛称も授かったアレクシス・サンチェスだが、アーセナルの元主将には「何度でも突進していく雄牛のよう」と言わしめた。このチリ代表FWの輝かしいキャリアをUEFA.comが振り返る。

アーセナルのアレクシス・サンチェス
アーセナルのアレクシス・サンチェス ©Getty Images

1-5と大きくリードされた状態でバイエルンをホームに迎えるアーセナルだが、アレクシス・サンチェスの存在があれば完全に敗退が決まったとはまだ言えない。この28歳の輝かしいキャリアをUEFA.comが振り返った。

評価
「彼の熱意はチーム全体に広がっていく。彼なら何かをやってくれるという希望を与えてくれる上、いつでも相手DFを後手に回らせる選手だ」
アーセナルのアーセン・ベンゲル監督

「たとえリカバリーが目的のトレーニングでも、外で練習して成長したがる選手さ。何度でも突進していく雄牛のようだね」
アーセナルの元主将、ミケル・アルテタ

アレクシス・サンチェスの名ゴール5選
アレクシス・サンチェスの名ゴール5選

「彼はファイターであり、気持ちが強い勝者だ。選手としての格が違い、今は非常にいいプレーをしている」
バルセロナでアレクシス・サンチェスを指導したジョゼップ・グアルディオラ監督

「今まで何人もの偉大な選手と一緒にプレーしてきたが、最も素晴らしいのがアレクシス・サンチェスだ。彼がベストだね。私以上? もちろんさ!」
ウディネーゼ時代の元チームメート、アントニオ・ディ・ナターレ

「彼を最初に見たとき、限りないポテンシャルを秘めた選手だと思った。普通の若い選手は技術や視野、相手を抜き去る能力のどれかが欠けているものだが、アレクシスは違っていたよ」
かつてコブレロアを率いたネルソン・アコスタ監督

現時点での実績
チリ代表:106試合、36ゴール
UEFA主催クラブ大会:56試合、12ゴール
国内リーグ、カップ戦:326試合、117ゴール

栄光への道
ウディネーゼ
• ウディネーゼが当時17歳だったサンチェスをチリで発掘し、契約を結んだのは2006年4月。しかし、“ニーニョ・マラビージャ”(ワンダーボーイ)は南米にとどまることを許可され、チリのコロ・コロやアルゼンチンのリーベル・プレートに期限付きで移籍した。

ウディネーゼで頭角を現したサンチェス
ウディネーゼで頭角を現したサンチェス©Getty Images

• ついに欧州へ渡ったのは2008年夏。最初の2シーズンで才能の片鱗を示すと、2010-11シーズンにはアントニオ・ディ・ナターレと見事なコンビネーションを築き上げる。同シーズンに28ゴールを挙げたディ・ナターレはセリエA得点王に輝き、ウディネーゼも4位でリーグ戦を終了。翌シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ出場権を手に入れた。

• 2011年2月のパレルモ戦では、イタリア1部リーグ史上初めてとなるアウェーゲームでの1試合4得点を記録。このシーズンのセリエAでは計12ゴールを挙げた。

バルセロナ
• 2011年7月には移籍金2600万ユーロ(現在の換算レートで約31億2500万円)でバルセロナに加入。1年目からスペイン・スーパーカップ、スペイン国王杯、UEFAスーパーカップ、FIFAクラブワールドカップ、そしてスペイン・リーガの5冠を獲得する。当時バルセロナを率いていたグアルディオラ監督は、サンチェスについて次のように語った。「アレクシスは私の心を奪い、私を幸せにしてくれた。とても謙虚な青年で、バルサは本当に素晴らしい選手を獲得した」

バルセロナでは多くの成功を収めた
バルセロナでは多くの成功を収めた©AFP/Getty Images

• 2012-13シーズンにはバルセロナのリーガ優勝に加え、スペイン史上初の勝ち点100超えに貢献。グアルディオラ監督からチームを引き継いでいた故ティト・ビラノバ監督は、「バルサに順応するのは簡単ではないが、アレクシスはそれをやってのけた。彼と契約に合意し、うちの選手になってくれたときには喜んだものだ」と語っている。

• ヘラルド・マルティーノ監督の下、カンプ・ノウで3年目を迎えた2013-14シーズンには個人的に最も素晴らしい数字を残し、リーガで19ゴール(公式戦では21ゴール)をマークした。

• しかし、そのシーズンのバルセロナは無冠に終わり、スペイン国王杯決勝ではレアル・マドリーに敗北。リーガでも勝てば優勝というアトレティコとの最終節を引き分け、あと一歩でタイトルを手にできなかった。この試合ではサンチェスの鮮やかなボレーでバルセロナが先制するも、ディエゴ・ゴディンの同点ゴールでアトレティコが引き分けに持ち込んでいる。敵将ディエゴ・シメオネ監督は、サンチェスがリーベル・プレートで指導を受けたこともある元恩師だった。

• バルセロナが公式サイトで行ったクラシコ歴代ベストゴールのファン投票では、リオネル・メッシやロナウジーニョ、ディエゴ・マラドーナやロマーリオの見事なゴールを抑え、サンチェスが2013年のレアル・マドリー戦で決めた絶妙なループシュートが1位に選ばれている。

アーセナル
• 2014年夏に加入。ウインガーからストライカーにコンバートされ、ガナーズ(アーセナルの愛称)移籍後最初の100試合で47得点を挙げた(ティエリ・アンリの記録には1本及ばず)。そのアンリ氏は「素晴らしい選手だね。彼の調子が良ければ、アーセナルが勝つ確率も大きくなる」と語っている。

• 2015年9月に敵地で行われたレスター・シティー戦で3ゴールを挙げ、プレミアリーグ、セリエA、リーガでハットトリックを記録するという史上初の快挙を成し遂げた。

• UEFAチャンピオンズリーグでの出場試合数(46)と得点数(12)はアーセナルの選手として現在最も多い。

トリビア
• チリの裕福ではない炭鉱の町トコピジャで生まれ、6歳からは洗車、宙返り、街頭ボクシングなどで家計を支えた。兄のウンベルト氏は「あの生い立ちによって、成功への強い思いが芽生えた」と語る。「ここまでたどり着けたことがどれだけ幸運なのか、彼自身もそれを理解しているし、その原点を忘れたことはない」

• 15歳のときには、トコピジャ市長から初めてのサッカースパイクをプレゼントされている。「2本の尻尾がある犬のように嬉しかった」と振り返るサンチェスも恩返しとして、故郷近くにあるミニピッチ5面の改修費用を負担。また、この港町(地元では『悪魔の曲がり角』とも呼ばれる)の子供たちにスパイクやボールを届けている。

• 幼少期には失くしたボールを取るために木や建物を登ることが多く、“アルディージャ”(リス)の愛称を授かった。

• コブレロアで現在のチリ代表のチームメートであるチャルレス・アランギス、エドゥアルド・バルガスと共にプレーしたあと、リーベル・プレートでラダメル・ファルカオの同僚に。そのリーベル・プレート時代について、当時の指揮官だったシメオネ監督はこう語っている。「アレクシスは最高だったよ。彼は別格で、世界のトップレベルでプレーするための準備をしている感じだった」

サンチェスは練習でも疲れ知らず
サンチェスは練習でも疲れ知らず©AFP/Getty Images

• アーセナルの2014年クリスマスパーティ―でリチャード・マークスの『Right Here Waiting』を演奏した。「決してピアノが得意というわけじゃないんだけど、その曲はちょっと弾けたんだ」と本人は明かす。「たまにはサッカーを忘れ、ほかのことに打ち込んだほうがいい。キーボードは僕にとってストレス発散に役立つよ」

• PK戦にもつれ込んだ2015年のコパ・アメリカ決勝で、アルゼンチンと戦ったチリを勝利に導く最後の1本を決めた。翌年の大会では3得点でチリの2連覇に貢献し、大会最優秀選手に輝いている。「彼の成長について、私は何の役にも立っていない。彼は自分の力で成長したからね」と、当時チリ代表を率いていたマルセロ・ビエルサ監督はコメントしている。「感謝しているのは私のほうだ」

• 愛犬はゴールデンレトリーバーのアトムとウンバー。架空のロボット“アトム”とその弟“ウンベルト”にちなんで名付けた。「彼らは最高の友だちさ」とサンチェスは言う。「実は僕のサッカーシューズにも彼らの名前が書いてあるんだ」。アトムとウンバーはソーシャルメディアで人気を博し、インスタグラムの専用アカウントには7万1000人のフォロワーがいる。

本人のコメント
「世界最高の選手の1人になりたい。僕は子供のころからそう言い続けてきた。引退したらのんびりするつもりだけど、当分の間はこのまま続けるよ」

アーセナルでゴールを決めて喜ぶサンチェス
アーセナルでゴールを決めて喜ぶサンチェス©AFP/Getty Images

「(子供のころ)お金を稼ぐのは簡単ではなかった。母に『心配しないで。僕はサッカー選手になるから。そうすれば万事うまくいく。お金持ちになれるよ』と話すと、笑われたものさ」

「裸足でプレーしていたせいで、少しジャンプしながら走るという自分のスタイルが確立した。石をよけながら走っていたからね」

「対戦するDFやチームを分析するかとの質問に対する答えはノーだ。いいプレーというのはとっさに出てくるものだからね。そういうものなんだよ」

「映画に出演するのが夢なんだ。洗練されていて身なりが良く、ピストルを持ったクールな刑事、あるいはNASAに勤務する何でも知っている若者の1人としてね」

UEFA主催大会で歴代最多ゴールを挙げているチリ人選手はサモラーノ
UEFA主催大会で歴代最多ゴールを挙げているチリ人選手はサモラーノ©Getty Images

これから達成が期待される記録
• UEFA主催大会におけるチリ人選手の最多出場記録および最多得点記録。現時点ではダビド・ピサロが前者(72試合)を、イバン・サモラーノが後者(21ゴール)を保持している。

• チリ代表での歴代最多出場記録。現時点では通算110キャップのGKクラウディオ・ブラボが4キャップ上回っているが、年齢も5歳上だ。一方、チリ代表の歴代得点ランキングでは、あと1ゴールで首位のマルセロ・サラスに並ぶ。

• 欧州の主要大会でトロフィーを掲げること。バルセロナ時代の2011年にUEFAスーパーカップのタイトルを獲得しているが、2大大会であるUEFAチャンピオンズリーグとUEFAヨーロッパリーグでは、まだ決勝に進出したことがない。

• 国内リーグにおけるシーズン20ゴール突破。これまでの最多記録は、バルセロナに所属していた2013-14シーズンの19ゴールだった。今季はアーセナルでここまで17得点を挙げている。