イグアインの輝かしい功績

ユベントスでのチームメート、レオナルド・ボヌッチに「ペナルティーエリアのアニマル」と言わしめるゴンサロ・イグアイン。ゴールへの鋭い嗅覚を持つこのアルゼンチン代表ストライカーに敬意を表し、UEFA.comがその功績を紹介する。

Gonzalo Higuaín (Juventus)
©Getty Images

ナポリ時代の2015-16シーズンに36得点を挙げ、ESMゴールデンシュー獲得にあと一歩と迫ったゴンサロ・イグアインは、今季も再びハイペースでゴールを量産している。今回はこのアルゼンチン代表ストライカーの素晴らしい功績を紹介する。

評価
「まさにトップストライカーで、。何よりすごいのはその動きだ。とても賢いFWの動き方だね。彼が後ろに回ってスペースをつくってくれるから、ほかのアタッカーたちもプレーしやすくなる」
元レアル・マドリーのジョゼ・モウリーニョ監督

「私は彼を、父親をひどく怒らせる息子のように扱う。父親は息子に腹を立てても必ず許すものだ。彼のおかげで素晴らしいシーズンを送れたから、本当に感謝しているよ。(クラブを離れると決めたときは)私を怒らせたが、それも過去のことだ」
ナポリのマウリツィオ・サッリ監督

「ゴールを決められないとクレイジーになるんだ。生まれ持ったものなんだろうね。一緒にベンチに入ったとき、試合が終わるころにはもう噛む爪がなくなっていたよ。ピッチに入ったら絶対にゴールを決めないといけないと言っていた。そのことしか考えていないんだ」
ユベントスで元チームメート、パトリス・エブラ

「“ピパ”は驚異的だね。ペナルティーエリアのアニマルだ。エリア内では絶対、足元にボールを行かせたくない選手だよ。とにかくゴールを決めるんだから」
ユベントスのDFレオナルド・ボヌッチ

「専用カメラで90分間、彼のプレーだけを追ったとしたら、おそらく僕らの攻撃シーンの90%ぐらいは、イグアインがエリア内でフリーになっていると思う。決して相手DFがマークについていないからじゃない。ボールが来る前に彼が2つ3つ動きを入れたり、マーカーを振り切るためにフェイントを仕掛けたりしているからだ」
ユベントスのDFジョルジョ・キエッリーニ

現時点での実績
アルゼンチン代表:67試合、31ゴール
UEFA主催クラブ大会:84試合、26ゴール
欧州での国内戦:363試合、209ゴール

栄光への道
レアル・マドリー
• リーベル・プレートから移籍後、1-1で引き分けた2007年2月のアトレティコとのダービー戦でマドリーでの初ゴールを決めた。

Gonzalo Higuaín (Real Madrid)
2007年のマドリーでのイグアイン©Getty Images

• マドリーでのピークは4-3で勝利した2008年11月のマラガ戦。チームの全4得点を挙げた。

• 2009-10シーズンのスペイン・リーガでは、チームメートのクリスチアーノ・ロナウドを上回る27得点を記録。34得点のリオネル・メッシに続く、リーガ最多得点ランキング2位の記録だった。

• 3度目のリーグタイトルを獲得した2011-12シーズン、2013年2月のデポルティボ戦でリーガ通算100得点に到達。マドリーでは公式戦164試合121ゴールを記録し、2013年の夏にナポリに移籍した。

ナポリ
• パリ・サンジェルマンに移籍したエディンソン・カバーニの後釜として加入した”エル・ピピータ(イグアインの愛称)”は、イタリアでの1年目でリーグ17ゴールを挙げたほか、コッパイタリアを制覇。PK戦の末にユベントスを退けた2014年のイタリア・スーパーカップでは2得点を挙げ、PK戦でも自らの1本を成功させた。

Gonzalo Higuaín (Napoli)
ナポリではゴールを量産©AFP/Getty Images

• 最初の2シーズンはセリエAで計35ゴールだったが、2015-16シーズンは35試合で36得点を量産。最終節にハットトリックを達成し、ACミランのレジェンド、グンナー・ノルダールが66年間保持してきた1シーズンの最多得点記録を塗り替えた。「この記録を破りたいと強く思っていた」と、イグアインは3ゴールを挙げたフロジノーネ戦終了後に明かしている。

• ナポリでの3年間では公式戦146試合で91得点を挙げ、1シーズン平均30ゴール以上を記録した。

• 欧州カップ戦では通算15ゴールを挙げ、クラブ歴代2位のマレク・ハムシークに並んだ。1位は19ゴールのカバーニ。

Gonzalo Higuaín (Juventus)
ユベントスでもネットを揺らし続けるイグアイン©Getty Images

ユベントス
• 2016年にはイタリア史上最高額の9000万ユーロ(当時の換算レートで約103憶円)でユベントスに移籍。デビュー戦となったフィオレンティーナ戦でゴールを決め、チームの2-1の勝利に貢献した。

• ユベントスへ移籍の際、ナポリのマウリツィオ・サッリ監督に次のような賛辞を贈った。「サッリ監督は僕にとって最高の監督だった。僕がさよならを言わずに去ったことを怒っているなら、謝りたい。彼には感謝しかないよ」

• 2016年12月11日から2017年1月29日の間に、セリエAで6試合連続ゴールを挙げ、自己ベストに並んだ。

トリビア
• ダビド・トレゼゲ氏と同様にイグアインはフランス生まれだが、両親は共にアルゼンチン人だ。しかしフランス代表となったトレゼゲ氏と違い、イグアインはA代表ではアルゼンチンでのプレーを選択している。

• イグアインは1987年にフランス、ブルターニュ地方の町ブレストで生まれた。当時、父親のホルヘ・イグアインはこの町のクラブ、スタッド・ブレストワでDFとしてプレー。ホルヘはその大きな鼻にちなんで“ピパ”の愛称で呼ばれていたため、息子のゴンサロには“ピピータ”(「小さな大鼻」といった意味)というニックネームがついた。

• 両親ともにサッカーに縁がある家庭で育った。母親のナンシー・サカリアスさん(パレスチナ系の血を引く画家)は兄弟2人がサッカー選手だった。そのうち有名なのはクラウディオ・サカリアスで、アルゼンチンのクラブ、サン・ロレンソでプレーしていた時代にドレッシングルームで爆弾が爆発し、手に大ケガを負った一件で知られている。この事件にも怯まず、再びピッチに立つことを目指したクラウディオの決意は、甥のイグアインにも大きな影響を与えた。

• 生後10カ月で髄膜炎をわずらい、これをきっかけに母親との絆がいっそう深まった。「髄膜炎になってから、母との関係は特別なものになった」と、自らも証言している。

• 兄のフェデリコもプロサッカー選手で、今はアメリカのコロンバス・クルーでプレーしている。32歳の兄はかつてベシクタシュでプレーしたこともあるストライカーで、ゴンサロより年齢は3歳上だが身長は12cm低い。

Gonzalo Higuaín (Argentina)
アルゼンチン代表の試合でゴールを決めるイグアイン©AFP/Getty Images

• FIFAワールドカップに出場したアルゼンチン代表メンバーでは史上3人しかいない、外国生まれの選手の1人。あとの2人はスペイン生まれのペドロ・スアレスと、パラグアイ生まれのコンスタンティノ・ウルビエタ・ソサ。

• 2010年のFIFAワールドカップでは韓国を相手にハットトリックを達成。1930年大会のギジェルモ・スタビル、1998年のガブリエル・バティストゥータに続き、アルゼンチン代表としてワールドカップ本大会で1試合3ゴールを決めた史上3人目の選手となった。

• ナポリ移籍した最初のシーズン、プライベートでナポリ湾沖に船で出かけた際に、転んで顔を岩に打ちつけた。これによりあごと眉のあたりを8針縫うケガをして、珍しい傷跡を負っている。

本人のコメント
「(ルート・)ファン・ニスレテルローイがよく言っていたけれど、ゴールというのはケチャップのようなものなんだ。必死になりすぎると出てこない。でも出るときは一気に出てくるんだよ」

「サッカーは芸術に似ているかって? もちろんさ。相手選手も止められないようなパスを5本、6本とつないで、美しいゴールを決めたら、これはもう芸術だよ」

「これまでの実績とは関係なく、飢えこそが選手を勝利に導いてくれる。プレッシャーは感じていない。実際、欧州制覇を目指すタイミングで、ユベントスが僕を獲得してくれたなんて、何という名誉なことだと思うくらいだよ」

Diego Maradona (SSC Napoli) - 1990
マラドーナもナポリで活躍した©Getty Images

これから達成が期待される記録
• まだ手にできていない主要なタイトルは、スクデットとUEFAチャンピオンズリーグ。今シーズン、1つでも獲得できるかどうかに注目が集まる。

• 2015-16シーズンのESMゴールデンシュー・ランキングでは、40ゴールを挙げたルイス・スアレスに続く2位に終わった。今季もすでに19ゴールを挙げてトップのリオネル・メッシを4得点差で追っており、今度こそ1位になれるかもしれない。

• アルゼンチン代表としては通算31ゴールを挙げ、あと3ゴールでディエゴ・マラドーナ、4ゴールで歴代3位のエルナン・クレスポに並ぶ。さらにその上には2位のバティストゥータ(56得点)、1位のメッシ(57得点)が控えている。