バルサの歴史的大逆転劇を可能にした理由

バルセロナがパリ・サンジェルマンを6-1で下した一戦は、歴史に残る大勝利として末永く語り継がれていくことになるだろう。とはいえ、バルセロナはどのようにしてその奇跡を起こしたのだろうか? UEFA.comのクリス・バーク記者が考察した。

試合終了後に健闘を称え合うルイス・スアレスとエディンソン・カバーニ
試合終了後に健闘を称え合うルイス・スアレスとエディンソン・カバーニ ©Getty Images

バルセロナがパリ・サンジェルマンを6-1で下した一戦は、末永く語り継がれていくことになるだろう。このカタルーニャの強豪クラブは、第2戦で0-4のビハインドを覆すという欧州カップ戦史上初の快挙を達成。しかもタイムアップ寸前に2試合合計スコアをひっくり返したことで、余計に劇的な幕切れとなった。

とはいえ、バルセロナはどのようにしてその奇跡を起こしたのだろうか? ホームでは輝きを放っていたパリに何が起こったのだろうか? バルセロナが世界を驚愕させた5つの理由について、UEFA.comのクリス・バーク記者が考察した。

揺るがぬバルセロナの自信
不思議な予感があったのか、バルセロナのルイス・エンリケ監督とルイス・スアレスは、7日の記者会見で「95分間」プレーする必要があると話していた。セルジ・ロベルトがバルサを準々決勝に導くゴールを決めたのは、まさにその95分。あまりにも奇妙な一致と言うしかないが、これはバルセロナが“レモンターダ”(逆転劇の意味)を信じて疑わなかったことを強調する事実だ。

バルセロナの歴史的大逆転劇を観よう
バルセロナの歴史的大逆転劇を観よう

エディンソン・カバーニに1点を返され、残り30分以内で3点を奪い返さなければいけなくなったバルセロナの選手たちは、確かに自信が揺らいだように見えた。それはセルタ・ビーゴに圧勝した週末の試合で、「シー、セ・プエデ」(イエス、ユー・キャン)と歌っていたカンプ・ノウの大観衆も同じだ。そんなとき、場内の全員に、試合の流れが一瞬で変わることを改めて思い知らせてくれたのがネイマールだった。

ネイマールが終盤に2ゴールを奪うと、勝負の行方は再びわからなくなった。スタジアムが熱狂のるつぼと化すなか、選手たちと観客の思いを乗せた6点目はゴールに吸い込まれていった。

ルイス・エンリケ監督のリベンジ
パリがバルセロナを4-0で一蹴した第1戦は、何よりもまずウナイ・エメリ監督の戦術がもたらした勝利として受け止められた。逆にルイス・エンリケ監督の評価は大幅に下落。その影響もあったのか、バルサの指揮官は2週間後に今夏限りで辞任する意向を発表した。慰留を乞われ、説得されることもほとんどなかった。

歓喜を爆発させるルイス・エンリケ監督
歓喜を爆発させるルイス・エンリケ監督©Getty Images

そのルイス・エンリケ監督は現在、大きな幸福感に浸っていても許されるはずだ。これは彼自身の勝利でもある。この46歳の指揮官は敵地パルク・デ・プランスでの惨敗を受けて、即座に戦術を練り直した。この日効果を発揮した3-4-3のフォーメーションは、直前の試合でテストしている。激しくプレッシングをかけるサッカーでパリのパスミスを誘発し、とりわけマルコ・ベラッティに自由を与えず、ついに形勢を覆すことに成功した。エメリ監督は何も手を打つことができなかった。

あまりにも消極的だったパリ
低調なパフォーマンスが第1戦の大敗につながったバルセロナと同様、この日のパリも内容の悪さで自滅した。バレンタインデーの圧勝で得た自信は消え去り、エメリ監督率いるチームは前半から腰が引けた戦い方に終始。3点をリードされるまでは自陣から出ようともしなかった。

「前半の戦い方が間違っていた。プレッシャーをかけることも、ボールを保持することもできなかった」と語ったエメリ監督は、この戦術ミスの説明を求められるに違いない。

不用意に重ねた失点
その消極的すぎるアプローチだけでなく、あまりにも簡単にゴールを奪われたことがパリの命取りとなった。パリが先発に起用したメンバーのうち、4人は過去にカンプ・ノウのピッチに立ったことがない。そのうち3人はパリの守備が崩壊するにつれ、この大舞台の雰囲気に怖気づいていった。

バルセロナが先制点を奪った場面では、GKケビン・トラップがもう少しうまく対応できたはずだ。トラップはネイマールのFKからも、あまりにも簡単にゴールを許している。そしてバルセロナの2点目は、ライバン・クルザバのオウンゴール。さらにトーマス・ムニエルが脚を滑らせたことでPKを与え、リオネル・メッシにスコアを3-0とされた。同じDFのマルキーニョスとチアゴ・シウバも、称賛に値するようなプレーを披露できていない。

まさかの結果にベラッティは茫然自失
まさかの結果にベラッティは茫然自失©AFP/Getty Images

得点に結びついたチャンス、結びつかなかったチャンス
パリが攻める意志をほとんど見せなかったとはいえ、カバーニが1点を返した直後のチャンスで再びGKマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンを破っていれば、結末は違うものになっていたかもしれない。カバーニがネットを揺らしたあと、パリは短いながらもこの日一番の時間帯を迎えていたが、フィニッシュの精度に無頓着だった結果、このウルグアイ代表FWとアンヘル・ディ・マリアが決定機を逃した。

対照的にバルセロナはチャンスをことごとく得点に結びつけている。ルイス・スアレスがヘディングでうまく決めた先制点はもちろん、歴史を塗り替えた6点目はセルジ・ロベルトの冷静さが光っていた。このゴールの動画は今後数十年間、何度も何度も再生されることになるだろう。「パリが4点を奪えるなら、うちも6点を決めることができる」。これは試合前日にルイス・エンリケ監督が語っていた言葉だが、選手たちは指揮官が正しかったことを証明してみせた。