4度目の女子UCL優勝を目指すリヨンの軌跡

6月1日に開催されるUEFA女子チャンピオンズリーグ決勝で、7シーズンで4度目の同大会優勝を目指すリヨン。この記事では、リヨンが欧州屈指の強豪となるまでの軌跡と、大滝麻未、熊谷紗希ら日本人選手も名を連ねた2011年、2012年、2016年の優勝を振り返る。

ウェールズのカーディフで6月1日に開催されるUEFA女子チャンピオンズリーグ決勝では、リヨンが同じフランスのパリ・サンジェルマンと激突する。UEFA.comでは、FFCフランクフルトに並ぶ通算4回目の優勝を目指すリヨンが欧州屈指の強豪となるまでの軌跡を振り返る。

フランスでの台頭
FCリヨンとして1990年代にも4回フランス王者に輝いたものの、このチームが女子サッカー界で本格的に台頭し始めるのは、オリンピック・リヨンの傘下に入った2004年からのことだ。当時すでにファリド・ベンスティティ監督に率いられていたチームは、2006-07シーズンにフランス国内リーグで優勝。クラブ史上初となるUEFA女子カップ(当時)への出場が決まると、ソニア・ボンパストールやカミーユ・アビリといったそれまでの補強選手に加え、エロディー・トミやルイザ・ネシブといったワールドクラスの選手を次々と獲得する。以降はフランス王者のタイトルを手放すことはなく、昨季まででリーグ戦10連覇と5季連続の国内2冠を達成している。

欧州の新勢力として
初の欧州の舞台に臨んだ2007-08シーズンは、スロバン・シャラに12-0と大勝して幸先よいスタートを切ったのち、準々決勝では前季優勝チームのアーセナルを敵地で3-2と下し、その実力を証明した。しかし続く準決勝では、その後準優勝するウーメオの前にアウェーゴール差で涙を飲んだ。その1年後、新たにロッタ・シェリンをメンバーに加えたリヨンは再び準決勝に挑んだが、この年の決勝で優勝するデュイスブルクに屈した。

史上初の決勝出場
UEFA女子カップがUEFA女子チャンピオンズリーグと改称される2009-10シーズンまで、フランス勢が決勝に進出したケースは一度もなかった。しかしリヨンは改称後初シーズンにこのジンクスを破り、ヘタフェで行われた決勝に進出すると、プレー内容でトゥルビーネ・ポツダムを圧倒。しかしどうしてもゴールを割ることができず、勝負は延長戦へ。さらにPK戦に持ち込まれたが、5人が蹴っても決着はつかない。6人目には大儀見優季が成功したポツダムでは、GKアンナ・フェリシタス・ザーホルツが奮闘。結局リヨンは6-7で敗れ、準優勝に終わった。

2010年決勝ではポツダムが勝利
2010年決勝ではポツダムが勝利

欧州2連覇達成
この決勝での敗北にもくじけることなく、リヨンはさらに躍進を続け、次のシーズンには指揮官がベンスティティ監督からパトリス・レア監督に交代。アメリカでプレーしていたアビリとボンパストールもチームに復帰し、勢いもそのままに2年連続で女子UCL決勝に駒を進める。フラムの本拠地、クレイブン・コテージで行われたこのシーズンの決勝でリヨンを待ち受けていたのは、またしてもポツダムだった。しかしこの年のリヨンは落ち着いた試合運びを見せ、ウェンディー・レナールのヘディングシュートで先制。終盤にはララ・ディッケンマンが追加点を奪ってポツダムを突き放し、初優勝を飾った。

2011年決勝ではリヨンがポツダムを破り初優勝
2011年決勝ではリヨンがポツダムを破り初優勝

それから1年後、8試合で33ゴールを挙げて2011-12シーズン決勝に進んだリヨンは、3度の優勝歴を持つ唯一のチーム、FFCフランクルトとの決戦に臨む。 会場となったミュンヘンのオリンピアシュタディオンには大会記録となる5万212人の観客が詰めかけた。リヨンはエウゲニー・ル・ソメルがPKを沈めて先制。さらに前半28分にアビリのゴールで2-0とし、終盤には大滝麻未もピッチに立つと、そのまま危なげなく欧州2連覇を達成した。

2012年にはフランクフルトを倒し、リヨンが2連覇を達成
2012年にはフランクフルトを倒し、リヨンが2連覇を達成

停滞期
翌年の女子UCLでは、8試合合計で40得点1失点と、圧倒的な強さを発揮してロンドンでの決勝に進出。スタンフォード・ブリッジで行われた決勝でも、これが大会初出場だったボルフスブルクを一蹴するものとみられていた。しかしボルフスブルクは、レア監督が率いた3シーズン、90分の試合で負けがなかったリヨンの猛攻に耐え、さらにマルティナ・ミュラーのPKで先制すると、これを守って優勝をさらった。その後2シーズンも、優勝の有力候補と目されていたリヨンだったが、まずはポツダム、次の年もパリ・サンジェルマンの前に屈し、2年連続でラウンド16で敗退した。

再び欧州の頂点へ
2014年にはジェラール・プレシュール氏が新たな指揮官に就任し、ノルウェーのFWアーダ・ヘーゲルベルグら有力選手の加入が相次いだ。安藤梢を擁するフランクフルトが戴冠した2014-15シーズンは上記の通り、ラウンド16敗退に終わったものの、続く2015-16シーズンはこのようなミスを犯さず。なかでも準決勝第1戦ではパリを7-0と粉砕し、スタッド・リヨンの新スタジアムで行われた欧州カップ戦2試合で16得点という、卓越した攻撃力を見せつけた。このシーズンは国内でもリーグ戦10連覇と5年連続の2冠を達成。その間にゴール数を100の大台に乗せている。さらにレッジョ・エミリアで開催されたボルフスブルクとの女子UCL決勝では延長戦を1-1で終えたのち、PK戦最後のキッカー、熊谷紗希が決めて、2013年決勝のリベンジを果たした。

 この2016年決勝を最後に、シェリン(地元スウェーデンのローセンゴールに移籍)、ネシブ(引退)、アマンディーヌ・アンリ(現在はポートランド・ソーンズに在籍)がリヨンを去った。しかし、2016年夏にはドイツ代表のジェニファー・マロジャンを獲得。続く冬の移籍期間にはアメリカ代表FWのアレックス・モーガンも加わり、現在のメンバーの多くは長期契約を結ぶなど、その選手層は盤石だ。

今季の女子UCLでは準決勝第1戦での熊谷のPKによるゴールを皮切りに、2試合合計3-2でマンチェスター・シティーを破り、大会記録タイとなる6度目の決勝進出を果たした。フランスでもリーグ11連覇を達成している。当初はパリやボルフスブルク、最近ではチェルシーやマンチェスター・シティーが大型補強を図っているが、今のリヨンの強さは、欧州女子サッカー界でこれまでになかったレベルに達していると言えるだろう。