
1年半ぶりにFCトウェンテを率いることになったスティーブ・マクラーレン監督は、古巣復帰後では初となる欧州カップ戦のホームゲームを前に、かつての忘れがたき思い出に浸っている。
トウェンテをクラブ史上初のエールディビジ制覇に導いた2010年は、マクラーレン監督にとって最も感慨深い1年といっても過言ではないはずだ。しかし監督自身にとっては、大逆転劇の末にFCバーゼル1893とFCステアウア・ブカレストを退け、ミドルスブラFCをUEFAカップの決勝に導いた2006年も大きな意味を持つという。
トウェンテは今季のUEFAヨーロッパリーグ決勝トーナメント1回戦第1戦で、ステアウアに敵地で1-0と競り勝った。同じステアウアを2試合合計4-3で下した6年前の勝利について、マクラーレン監督は「あれは『絶対に忘れられない』瞬間だった」と振り返る。「バーゼルとの準々決勝では、3点差をはね返して終了間際に決勝点を挙げた。そしてその2週間後には、ステアウアを相手に同じく土壇場で勝ち越した。正に信じられない一夜だったね。自分のキャリアにおいても、そう何度も起こることではないと思う。あのバーゼル戦とステアウア戦は、本当に印象深い2試合だった」
「不思議な感覚だった。どちらの試合も残り数秒でタイムアップという時点でリードされていたので、逆転できるとは信じていなかった。2試合とも(マッシモ・)マッカローネが終了間際にゴールを挙げ、奇跡を起こしてくれたんだ」
かつてマンチェスター・ユナイテッドFCでアシスタントコーチを務めたマクラーレン監督は、ミドルスブラを率いた後にイングランド代表を指揮。続いてトウェンテでの1期目を終えると、2010年5月から9カ月の在任にとどまったVfLボルフスブルク、そしてノッティンガム・フォレストFCでは目立った成果を残すことができなかった。「ここ(トウェンテ)では以前にも充実した2年間を過ごした。だから復帰を決断した」とマクラーレン監督は語る。「予想より早く戻ることになったが、帰ってくることができてうれしいね。チームの顔ぶれは少し違うが、以前とほとんど変わっていないし、今もすべてが素晴らしい。クラブの文化、哲学、方針は2年前と同じだ」
サッカー界は以前にも増して、監督、チーム、選手のライバル関係が複雑に入り組んでいる。トウェンテもベスト16に勝ち上がった場合は、国境を隔てたドイツのFCシャルケ04と対戦する可能性がある。しかし、イングランド人としてドイツ1部リーグのクラブで初めて指揮を執ったマクラーレン監督は、彼の地での指導経験があるとしても、ブンデスリーガ勢を特に意識することはないと述べた。
「モチベーションが特別に高くなるとは思わない」とマクラーレン監督は言う。「我々は数年前、欧州カップ戦のグループステージでシャルケと対戦し、彼らを退けた。記憶に残る夜となり、トウェンテにとって大きな勝利だったよ。だから、私に証明すべきことは何もない。戦うことになれば、戦うまでだ」
その前に、大きな仕事が残されている。マクラーレン監督は、選手たちを信頼してUELで次の試練に立ち向かおうとしている。FWルーク・デ・ヨングは、欧州カップ戦での実績と決勝進出、そしてトロフィー獲得に必要な知識を持つ指揮官の下でプレーできることのありがたみを強調した。
「マクラーレン監督がすることには、何かにつけて経験がにじみ出ている」とデ・ヨング。「皆、マンチェスター・ユナイテッドやミドルスブラでの指導歴、ここトウェンテでの最初の任期のことを知っている。彼を見れば、僕らに多くのことを教えることができる、経験豊富な監督だとわかるはずだ。こういった試合での戦い方を知り、こういう局面でしっかり準備できる監督がいてくれてうれしい。彼のおかけで僕ら選手は集中できるよ」
監督を頼もしく思っているのは、選手たちだけではないようだ。「彼はこのチームに活力をもたらすことができる」と、ファンの一人は説明する。「今までの監督にはそれができなかった。最高クラスの監督でもできるとは限らないが、マクラーレン監督にはできると思うし、現にできている」
人生と同様、サッカーでは後ろへ引き返すべきではない。そんな格言もあるが、マクラーレン監督がトウェンテで再び成功を収めるための材料は、過去にふんだんに残されている。木枯らしが彼らをUEFAヨーロッパリーグ・ベスト16へと運んでくれるのか。それとも、マクラーレン監督のよく知る敵、ステアウアが敵地エンスヘデでの第2戦で巻き返すのか。その答えは23日に明らかになる。
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