決勝バックグラウンド:アヤックス vs ユナイテッド

アヤックスとマンチェスター・ユナイテッドが対戦するのは、ストックホルムでのUEFAヨーロッパリーグ決勝で5回目。ユナイテッドは唯一手にしていない欧州タイトルを手にできるのか? それともアヤックスが勝利を収めるのだろうか?

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若さあふれるアヤックスが22年ぶりに欧州カップ戦制覇を成し遂げるのか、あるいはジョゼ・モウリーニョ監督率いるマンチェスター・ユナイテッドが唯一欠けていた欧州タイトルを手にするのか。2017年のUEFAヨーロッパリーグ決勝で決着がつく。

過去の対戦
• 両チームがUEFA主催クラブ大会で対戦するのは5回目。過去4試合の成績は2勝2敗となる。

• 初対戦は1976-77シーズンのUEFAカップ1回戦。ティモスラフ・イビッチ監督率いるアヤックスはルート・クロルの1点で第1戦に1-0と競り勝ったが、オールド・トラフォードでの第2戦ではユナイテッドが雪辱。ルー・マカリとサミー・マキロイのゴールにより、トミー・ドケティー監督率いるチームが2-0の勝利を収めた。

• 前回は2011-12シーズンのUELラウンド32で顔を合わせた。アムステルダムでの第1戦は、アレックス・ファーガソン監督率いるユナイテッドがアシュリー・ヤングとハビエル・エルナンデスのゴールで2-0と快勝。リターンマッチでも“チチャリート”(エルナンデスの愛称)の先制点でユナイテッドが2試合合計3-0とリードを広げたが、アラス・エズビリズとトビー・アルデルワイレルトのゴールでアヤックスが2-1と競り勝った。しかし、次のラウンドに勝ち進んだのはユナイテッドだった。

ハイライト:ユナイテッドとアヤックスが対戦した5年前の試合
ハイライト:ユナイテッドとアヤックスが対戦した5年前の試合

• 2011-12シーズンのアヤックス戦に出場したヤング、フィル・ジョーンズ、クリス・スモーリング、ダビド・デ・ヘアは、現在もレッド・デビルズ(ユナイテッドの愛称)の一員。当時ユナイテッド在籍1期目だったポール・ポグバも、第1戦の控えメンバーに名を連ねていた。

最近の成績
• 決勝までの得点数はアヤックス(24)がユナイテッド(23)を上回る。ただし失点数もアヤックス(15)がユナイテッド(8)より多い。

• アヤックスは欧州カップ戦のアウェーゲームで6試合勝利がなく、その間に3分け3敗の成績。3試合続けて引き分けたあと3連敗中。

• ユナイテッドは今大会のグループステージでフェネルバフチェに敵地で1-2と競り負けて以来、欧州カップ戦で10試合負けていない(7勝3分け)。

• アヤックスは総シュート数(225)と枠内シュート数(95)が今大会最多。ユナイテッドの総シュート数は208本、枠内シュートは76本。

• ユナイテッドはパス総数(7582)とパス成功数(6702)が今大会最多。アヤックスのパス総数は6033本、パス成功数が5142本。

• アヤックスはファウル数(236)、イエローカード(45)、レッドカード(4)が今大会で最も多い。ユナイテッドは176回のファウルを犯し、21枚のイエローカードと2枚のレッドカードを受けている。

両チームのつながりとトリビア
• アヤックスのベルトラン・トラオレは、ユナイテッドのライバルであるイングランドのチェルシーから期限付きで加入している。ブルキナファソ代表としても活躍するこのFWは、現ユナイテッドのジョゼ・モウリーニョ監督がチェルシーを率いていた2015年9月にトップチームでデビュー。4-0で圧勝したUCLグループステージのマッカビ・テルアビブ戦に出場した。

• アヤックスのユスティン・クライファートの父親は、元オランダ代表FWのパトリック・クライファート氏。1995年のUCL決勝でアヤックスを優勝に導くゴールを決めた同氏は、ニューカッスルの一員として2004-05シーズンにプレミアリーグでプレーし、ユナイテッドとは3試合で対戦して3敗を喫している。リーグ戦ではアウェーで1-2、ホームで1-3と連敗し、中立地で行われたFAカップ準決勝でも1-4のスコアで敗れた。

• 負傷でユナイテッドの戦列を離れているズラタン・イブラヒモビッチは、2001年から2004年まで在籍したアヤックスでプロとして最初に頭角を現した。その間にエールディビジで2回、オランダカップで1回の優勝に貢献したイブラヒモビッチは、ストックホルムでの決勝でプレー可能な唯一のスウェーデン人選手だった。

• ユナイテッドのダリー・ブリントは、自身と父親の古巣と対戦することになる。アヤックスの下部組織で育ったブリントは、2008年から2014年までの在籍期間中に4度のリーグ優勝を成し遂げた。

• ブリントとアヤックスのデイビー・クラーセンはオランダ代表として、2016年9月6日にフレンズ・アレナでプレー。チームはスウェーデンと1-1で引き分けた。

2008年にユナイテッドのUCL優勝を支えたGKエドウィン・ファン・デル・サールは古巣のアヤックスに復帰し、ゼネラルディレクターを務めている。

• ユナイテッドのGKセルヒオ・ロメロは、2007年から2011年までオランダのAZアルクマールでプレー。2008-09シーズンにリーグ王座を手にしている。アヤックスのニック・フィエルヘフェルはAZ時代のチームメートで、2010-11シーズンを共に過ごした。

• アムステルダム生まれのDFティモシー・フォス=メンサーはアヤックスの下部組織で育ち、2014年にユナイテッドへ移籍した。

• アヤックスのGKアンドレ・オナナは、今シーズンのUELで全選手中最長の1200分間プレー。これにアヤックスのアミン・ユネス(1197分)とユナイテッドのポグバ(1173分)が続いている。決勝進出チームの所属選手で、今大会でこれまでの14試合すべてに出場しているのはユネスとポグバのみ。

• 計8ゴールを挙げているゼニトのジウリアーノとローマのエディン・ジェコは、今大会の得点ランキングでトップに並んでいる。アヤックスで最も得点が多いのは、ここまで6ゴールのカスペア・ドルベルグ。ユナイテッドでは5ゴールのイブラヒモビッチとヘンリク・ムヒタリアンが最も多い。

• ポグバはパス総数(953)とパス成功数(840)が今大会最多。

• ユナイテッドのエリック・バイイは、今大会で2度退場処分を受けた唯一の選手。今大会で警告が最も多い選手は、ここまで6枚のイエローカードを受けているアヤックスのヨエル・フェルトマンだ。

• 今大会のアヤックスで被ファウル数が最も多い選手はドルベルグ(25)。ユナイテッドではポグバ(20)が最も多くファウルを受けている。

• ユナイテッドのマイケル・キャリックは決勝でプレーして勝利すれば、UEL史上最年長で優勝を成し遂げる。キャリックは35歳300日で決勝を迎えるため、チェルシーのフランク・ランパードが2013年に残した記録(34歳329日)を上回る。

• 一方、史上最年少の優勝選手は、2010年にアトレティコで栄冠を手にしたエドゥアルド・サルビオ(19歳303日)だが、17歳のDFマティス・デ・リトが今回の決勝でプレーできなくても、アヤックスが勝利すればほかの選手がサルビオの記録を塗り替えることになりそうだ。

スウェーデンが生んだ偉大なゴールハンターたち
スウェーデンが生んだ偉大なゴールハンターたち

スウェーデンとのつながり
• アヤックスはこれまでにUEFA主催大会ではスウェーデンで2試合を戦っており、1勝1敗の成績。1987年の欧州カップウィナーズカップではマルメで0-1と敗れている一方、1991年のUEFAカップでオレブロに赴いた際には1-0の勝利を収めた。

• ユナイテッドがストックホルムでUEFA主催クラブ大会の試合を行うのは、今回の決勝が初めて。しかし1965年のインターシティーズ・フェアーズカップ(UEFA主催ではないが、UEFAカップ/UELの前身)では、ロースンダスタディオン(同スタジアムの跡地にフレンズ・アレナが建設された)でジュールガルデンと1-1で引き分けている。

• ユナイテッドがスウェーデンでUEFA主催クラブ大会唯一の試合を行ったのは、1994-95シーズンのUCLグループステージ。このときはIFKイエーテボリの前に1-3と敗れた。この試合でIFKの先制点を決めたイェスペル・ブロンクビストは、のちにユナイテッドへ移籍し、1999年のUCL決勝に出場して優勝に貢献している。

• ストックホルムで開催された過去唯一のUEFA主催男子クラブ大会決勝では、イングランドのチームが栄冠を掲げた。これはロースンダスタディオンで行われた1998年のUEFAカップウィナーズカップ決勝で、チェルシーがシュツットガルトを1-0で破っている。

1995年5月24日:10代のクライファートがアヤックスの英雄に
1995年5月24日:10代のクライファートがアヤックスの英雄に

決勝の焦点
• 今季のUEL決勝が行われる5月24日は、アヤックスが欧州カップ戦で最後に栄冠を掲げてからちょうど22年後にあたる。このときは1995年のUCL決勝でACミランに1-0と競り勝った。

• アヤックスがUEFA主催主要大会の決勝に進出するのは、これで通算15回目(10勝4敗)。また、1996年のUCL決勝でユベントスにPK戦で敗れて以降では初となる。

• ユナイテッドはUEFA主催クラブ大会の12回目の決勝を迎える(6勝5敗)が、現在は3連敗中(2008年UEFAスーパーカップ:1-2 ゼニト、2009年UCL決勝:0-2 バルセロナ、2011年UCL決勝:1-3 バルセロナ)。最後に勝利を収めた決勝は、PK戦の末にチェルシーを下した2008年のUCL決勝までさかのぼる。

• ユナイテッドは1999年11月に東京で行われたヨーロッパ/サウスアメリカカップでパルメイラスを1-0で下して以来、国際クラブ大会の決勝で90分以内に勝利を収めていない。最後に90分で勝った試合ではロイ・キーンが決勝点を挙げた。

• ユナイテッドはストックホルムで勝利を収めると、アヤックス、バイエルン、チェルシー、ユベントスに続くUEFA主催クラブ大会(欧州チャンピオンズカップ/UCL、UEFAカップ/UEL、欧州/UEFAカップウィナーズカップ)完全制覇を成し遂げる。

クライフ擁するアヤックスが欧州制覇を成し遂げた1972年の決勝を観よう
クライフ擁するアヤックスが欧州制覇を成し遂げた1972年の決勝を観よう

• アヤックスが優勝すると、2つのUEFA主催クラブ大会を2つのフォーマットで完全制覇する。過去には欧州チャンピオンズカップ(1971、1972、1973年)とUCL(1995年)に加え、UEFAカップで1992年に栄冠を手にしている。なお、ポルトはUEFAカップ(2003年)/UEL(2011年)と欧州チャンピオンズカップ(1987年)/UCL(2004年)の栄冠を掲げた唯一のチームだが、カップウィナーズカップでの優勝経験がない。

• ユナイテッドとアヤックスがUEL決勝へ進出したのは今回が初めて。決勝まで勝ち上がったのは通算11、12チーム目となり、フレンズ・アレナではセビージャ(優勝3回)、アトレティコ・マドリー(同2回)、ポルトとチェルシー(同各1回)に続く5クラブ目の王者が誕生する。

• UEFAカップがUELに生まれ変わって以降、決勝へ勝ち上がったイングランド勢はフラム、チェルシー、リバプールに続いてユナイテッドで4チーム目となり、国別では最も多い。次に多いスペインとポルトガルからは、各3チームが決勝へ進出している。

• UEL決勝に勝ち進んだオランダ勢はアヤックスが初めて。決勝進出チームの国別ではオランダが5カ国目となる。

アヤックスのボス監督
アヤックスのボス監督©AFP/Getty Images

監督について
• 現役時代にフェイノールトでMFとしてプレーし、オランダ王者となった経験を持つペーター・ボス監督は、2016年5月にアヤックスの指揮官に就任。これまでオランダではヘラクレスとフィテッセを率いたほか、短期間だけイスラエルのマッカビ・テルアビブを指導したこともある。

• ユナイテッドのモウリーニョ監督は、2016年夏に就任。ポルトでUEFAカップとUCLを制して一気に名を上げ、インテル・ミラノでも欧州制覇を成し遂げたほか、2期にわたって率いたチェルシーでプレミアリーグのタイトルを3回獲得した。

• モウリーニョ監督が最後にこの大会を経験したのは2003年で、ポルトを率いてUEFAカップ決勝に進出。セビージャで行われた大一番ではセルティックに3-2と競り勝ち、見事優勝を果たした。

• モウリーニョ監督はレアル・マドリーを率い、アヤックスとの5試合に全勝。計20得点2失点と圧倒した。

• モウリーニョ監督はUEFA主催クラブ大会の決勝で3回指揮を執って全勝。ボス監督はこれが初めての欧州カップ戦決勝になる。

ユナイテッドのモウリーニョ監督
ユナイテッドのモウリーニョ監督©Getty Images

• どちらが勝利を収めたとしても、UEL史上最年長の優勝監督が誕生する。従来の記録は、2013年にチェルシーで栄冠を掲げたラファエル・ベニテス監督の53歳21日。ボス監督は53歳184日、モウリーニョ監督は54歳118日で決勝を迎える。

• さらにモウリーニョ監督は、ベニテス監督に続く史上2人目のUEFAカップとUEFAヨーロッパリーグの優勝を成し遂げる可能性がある。ベニテス監督はバレンシア(2004年)でUEFAカップを、チェルシー(2013年)でUELを制覇した。

PK戦の成績
• アヤックスはUEFA主催クラブ大会でPK戦を5回経験しており、1勝4敗:
敗北 2-4 アウェー vs ステアウア(2012-13シーズン UELラウンド32)
敗北 2-4 中立地 vs ユベントス(1995-96シーズン UCL決勝)
勝利 4-3 中立地 vs グレミオ(1995年 ヨーロッパ/サウスアメリカカップ)
敗北 2-4 アウェー vs ボヘミアンズ・プラハ(1984-85シーズン UEFAカップ2回戦)
敗北 3-4 アウェー vs レフスキ(1975-76シーズン UEFAカップ3回戦)

• ユナイテッドはUEFA主催クラブ大会で3度のPK戦を経験し、1勝2敗の成績を残す:
敗北 4-5 アウェー vs ビデオトンFC(1984-85シーズン UEFAカップ準々決勝)
敗北 3-4 アウェー vs FCトルペド・モスクワ(1992-93シーズン UEFAカップ1回戦)
勝利 6-5 中立地 vs チェルシーFC(2007-08シーズン UCL決勝)